千石は気分屋だ。
欲情を隠すことなく貪欲なキスでねだってくるときもあれば、 押し倒した下から逃げられるときもある。
そして、俺がそれに付き合いきれなくなったら 俺たちの関係はきっと終わるんじゃないだろうか。
「…っん、」
俺のはねっとりとした口付け と自負している。 長い しつこい いやらしい は付き合った女たちに言われてきた。(キスに限らず、だけど) キスの時、相手の鼻から抜ける声が好きだ。 長い と弱く体を押されるのも好きだ。 だから長くなるのは仕方ない。
ぐ、と体を押される。 離れる と見せかけて更に深く貪り、先端で上顎をなぞり舌を追い詰め 絡めとり 己の欲情を示すように腰を引き寄せてその股に押し付けた。
「んぅ…ん、ん!」
千石が叫ぶ。 鼻から抜ける じゃなくて 叫ぶ。 ぐ とかじゃなくて、漫画の擬音で言うなら ぐぎぎ と引き離すように体を押され、 仕方なく それでもゆっくりと 唇を解放した。 濡れた唇と漏れた唾液が なかなかソソるな。さすが俺 呼吸を整える千石の口元を袖で拭いてやった。 千石は俺を睨む。
「俺さ、寝たいんだけど」
「うん。ええんとちゃう?俺も千石と寝たいわ」
「そうじゃなくて、俺は眠いの。アイムスリーピーなんです」
「えー。そんな冷たいこといわんといて」
「冷たくない。普通ふつー」
「ほら、今日は寒いやん?暖め合おうや」
「うん。布団被ってれば十分だから」
「そんな!俺の息子どないしてくれんねん」
「自分でどうにかしたら?」 「寂しいなら見ててあげるから」
「なにそれ。視姦?」 「千石、そんな趣味あったん?」
「…なんでもいいから、その刃物付きつけるのやめてくれませんか」
「ねぇ」と千石が俺を押す。 刃物ってのはこれか、とまた腰を寄せれば「おい」と声があがるから、やっぱりナニのことらしい。
「えー…、うん。無理やな」
やっぱり気分屋な千石に付き合うより俺の息子事情に付き合ってもらいたい。 暫くの問答にも萎えない点、親子共々千石大好きなんです。今日くらい責任とってください
「なッッ!ざけんな、このッ…!」
押し倒した下で言う千石に笑いかける。 嫌がるのを押さえ付けるのも好きだなんて言ったら二度と家に来てくれないだろう。
今日はどうしてやろうかと考えながら、また唇を押し付けた。
(忍足=変態)
2008.02.17(Sun) - idea
|